奈良県橿原市の田ノ上工務店では、「耐震等級3+制振構造」を標準仕様にしています。
今回は「耐震等級3って必要?」「等級1とか2じゃなんでダメなの?」という疑問について、考えてみたいと思います。
耐震等級3ってどんな家?
耐震等級3を簡単にいうと、現行の建築基準法の1.5倍の耐震性能。今の日本の耐震等級としては、最高レベルです。
今の建築基準法で定められている耐震性能は、阪神淡路大震災の被害を教訓に2000年に改正された基準です。
具体的には「阪神淡路大震災レベルの大地震で、倒壊や崩壊しないこと」が求められています。これが「耐震等級1」とイコールです。
耐震等級1や2では足りない?
「阪神淡路大震災レベルで倒壊しないなら、耐震等級1や2でも大丈夫じゃない?」
「法律で決められているレベルなんだから、安全でしょ」
そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし当社では「耐震等級3は必須!」と考えています。
その根拠となるのが、2016年に起きた熊本地震で起きた被害。みなさんの記憶にも新しいのではないでしょうか。
熊本地震ってどんな地震だったの?
熊本地震では、熊本市内から少し離れた益城町というエリアを中心に、実に大きな被害がでました。
どれだけの被害がでたのか?
Googleのストリートビューでは、当時の被害のようすをみることができます。
街を上空からみると、地震で損傷してブルーシートをかけられた建物がたくさん。
完全に瓦礫の山になってしまった家や、1階部分がぐしゃりと潰れてしまった家など、思わず目を覆いたくなるような状況です。
そしてこの熊本地震は、建築業界にある衝撃を与えました。
それが「築年数が新しい住宅(=現行の建築基準法)にも、大きな被害がでてしまった」ということです。
こちらの資料を見てみてください。
2000年以降に建てられた住宅でも、倒壊・全壊などの大きな被害が出ていますよね。
出典/一般社団法人 くまもと型住宅生産者連合会
それに対して、耐震等級3で倒壊・全壊・大規模半壊した木造住宅は0軒!
ほとんどは無被害か軽微な被害ですんだそうです。
熊本地震のような繰り返す大地震のあとも安心して住み続けるには、耐震等級3レベルの家が必要ということがわかります。
繰り返しの地震にも強い家に
なぜ熊本地震で耐震等級1や2の家でも大きな被害がでたかというと、熊本地震は「大きな揺れを繰り返す地震」だったから。
最初のほうで述べたとおり、建築基準法の耐震基準は「大地震で倒壊・崩壊しない(=命を守る)」レベルです。
大きな揺れが一度だけならば、建物にひびが入ったりゆがんだりする程度の被害ですむでしょう。
しかし建物がゆがんだ状態で、2度目の大きな揺れがきたら…熊本地震のような被害が起きてもおかしくはありません。
熊本地震の状況をみると、「建築基準法さえ守っていれば安心」という考え方には疑問がでてきませんか?
地震は避けられない災害です。
実際に熊本は「地震のリスクが少ない地域」といわれていたのにも関わらず、あのような大きな地震が起きてしまいました。
奈良県も基本的には地震の少ない地域として知られています。
しかし、南海トラフ地震が起きてしまえば、影響は避けられない地域でもあります。
ぜひ「耐震等級3レベルは必須」として、プラスアルファでどのくらい備えられるか…という意識で家づくりをしていきたいものです。
▼地震に強い家を建てるには、奈良県の気候風土を知っておくことが大事です!
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