地震に強い家をつくるのに欠かせないのが、横からの力に対抗する耐力壁です。
今回は「耐力壁」や「壁倍率」ってどんなもの?という疑問にお答えしたいと思います。
耐力壁ってそもそもどんなもの?
柱と梁だけでできた四角い枠は、横から大きな力を加えたときにグニャリと歪んでしまいます。ですからそのままでは耐力壁としてはカウントされません。
そこで「筋交い」という斜めの材や「構造用合板」を入れて補強すると、歪みを少なくすることができます。これが耐力壁です。
耐力壁の強さを表すのが壁倍率
耐力壁にも、いろいろな作り方があります。
「太い筋交いを入れるのか?細いのを入れるのか?」「1本の筋交いを入れるのか?2本入れるのか?」
作り方によって、なんとなく強さが変わりそう……というのはイメージいただけるでしょうか。
そんな耐力壁の強さを数値化したのが「壁倍率」。
建築基準法(施行令第46条)で基準が決められているのですが、代表的なものをご紹介します。
壁倍率1倍 | 1.5cm×9cmの筋交いを1本入れた「片筋交い」 |
壁倍率1.5倍 | 3cm×9cmの筋交いを1本入れた「片筋交い」 |
壁倍率3倍 | 3cm×9cmの筋交いをクロスするように2本入れた「たすき掛け」 |
壁倍率が大きい=(数値上は)地震に強い耐力壁ということになります。
筋交いを入れる注意点も知っておく
そうか。地震に強くしたいなら、とにかく筋交いをいっぱい入れればいいのか!
……と思いがちですが、実は筋交いにも注意点はあります。
注意点1|筋交いの端に力がかかる
まずは筋交いは「点」で支えている、ということ。
両端の「点」に局所的に負担がかかるので、大きな力で筋交いが折れたり外れたりする可能性も。
そのため「筋交いの端っこは、金物でしっかり固定してくださいね」というルールもあります。
注意点2|断熱欠損につながる
そして2つ目の懸念点が、断熱欠損。
筋交いのところは、断熱材をカットして入れなければなりません。
そのため筋交いのまわりに隙間ができたり、想定通りの断熱材の厚みになっていなかったりと、断熱の弱点になりやすいんです。
弱点があると、そこから局所的に熱が逃げていくので、温度差ができて内部結露の原因にもなります。
では「パネル工法」ってどんなもの?
耐震壁をつくるのは筋交いだけでなく、柱の間にパネルをはめこんで耐力壁をつくる方法もあります。
田ノ上工務店で使っているのは、壁倍率2.5倍のパネルです。
筋交い(たすき掛け)=壁倍率3倍
パネル=壁倍率2.5倍
こう見ると「たすき掛けの方が壁倍率が大きいのに、なぜパネルを使うの?」と思うかもしれませんが、それには深い理由があるんです!
パネル工法のメリット1|耐震性と断熱性を両立する
先ほど「筋交いで断熱欠損が生じやすい」という注意点について触れましたよね。
一方、パネルは構造用合板と断熱材が一体化したもの。
これなら柱の間いっぱいに、すきまなく断熱材を敷き詰めることができます。
断熱は絶対におろそかにしてはいけないので、耐震と断熱の2つをバランスよく両立させられるメリットはとても大きいんです。
パネル工法のメリット2|うまく力を分散させる
またパネルで家の外周をぐるりと囲むことで、強い箱型の構造になるというメリットも。
接合部など一箇所に力が加わらず、建物全体に力を分散させることで強さを発揮することができます。
田ノ上工務店では耐震等級3が標準仕様です
田ノ上工務店では、このような形で最も高いレベル「耐震等級3」の家をつくっています。
・家の外周は「パネル」でぐるりと囲み、耐震と断熱を両立!
・内部を仕切る壁には適宜「筋交い」を使って、地震への強さをアップ
大きな地震に備えて、いっしょに安全性の高い住まいを実現しましょう!
▼「そもそも耐震等級3じゃないとダメなの?」という方はこちらの記事をどうぞ